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2004年 10月 27日
素晴らしい映画を観た。全く予備知識なく偶然にもこの映画を見つけて、真夜中に真っ暗な部屋で一人で観た。涙が止まらなかった。
”ヤァヤァシスターズの聖なる秘密”。これは2002年に撮られた作品で、”テルマ&ルイーズ”の脚本を書いたカーリー・クォーリ監督の作品だ。”テルマ&ルイーズ”はハードボイルドな作品で結構人気があったらしいが私はあまり好きではなかった。しかし、この作品は見事であった。出演している俳優陣がまず素晴らしい。エレン・バースティン、マギー・スミス、サンドラ・ブロック、アシュレイ・ジャドなど、その他にもたくさん素晴らしい俳優が結集していた。 この作品は人気小説の映画化とあって期待も大きかったようだが、うまく映像化されている。冒頭シーンから、これから始まる冒険を示唆するような儀式が行われ、観客はすぐに映画の中に入っていける。物語は少女時代に4人で友情の同盟を結んだある母親とその娘を軸に展開する。大変に気性の激しい母と、母の影響で家族の絆を信じきれない娘。自分の将来の夢を捨てきれず、過去の愛した人を失った悲しみを癒せず、自身の母に愛されなかった傷を持っているが為に、時として自分の子供を愛せない時があった母は、子供達にひどい仕打ちをしてしまい、後悔と自責の念を忘れる為にその話題を避けてきた。しかし、娘に自分の本当の心境を打ち明けられず誤解され、家族関係どころか娘が自分の結婚に疑問を抱き、愛する人を失おうとしているのを見て、過ちを認め家族と向き合う事を決心する。 この映画は話だけ見るとシリアスになりすぎる内容だが、脇をサポートする素晴らしい俳優陣によって見事にコメディの要素が吹き込まれている。贅沢すぎるくらいだ。このヤァヤァシスターズ(母を含めた4人の友情同盟の名前)のメンバーが、状況を見かねて手を貸すのだが、これが最高におかしくってかっこいい。3人とも見事に役どころを得ており、それぞれの性格が調和して、なんとも大胆な行動で母子を向き合わせようと奮闘するのである。特にマギー・スミスはあの”ハリー・ポッター”シリーズでよく知られているのですぐにわかると思うが、今回のお茶目さと言ったら!本当にかわいらしい!あの大きな目をギョロギョロさせて、酸素ボンベをひきずって右往左往するあたり、笑いの渦である。そして、サンドラ・ブロックのコメディエンヌとしての演技のうまさ。タイミングも身振り手振りも抜群だ。また、アシュレイ・ジャドの母の若かりし頃の役も注目だ。まず彼女のあまりの美しさに釘付けになるのだが、あれほど演技ができる女優だとは知らなかった。アルコール中毒という難しい役柄も、やりすぎずうまく好演。そして、なんといっても目を引くのがエレン・バースティンである。だいぶ年齢を重ねているはずだが、映画の中で彼女が放つ輝きに驚いた。彼女自身の美しさに加え、華やかな衣装も見事に着こなし、更に内面から放たれる女優としての誇りのようなものがきらきらと画面いっぱいにあふれ、まばゆい程である。 さて、この映画の伝えたいポイントは、母子の絆であろう。世の中は、絶対に自分の子供を好きでなければその人は奇人として扱われる。そんな自分を罪だと感じる。でも、彼女自身も子供を愛している。ただ、時々子供の周りについてまわる騒々しさや、子供のために尽くし、自分自身を犠牲にしているという被害妄想、叶わなかった夢への執着と打ち明けられない辛さが母を追い詰め、アルコール依存症となる。意識がもうろうとして、子供に辛く当たってしまい、激しい後悔と羞恥心にさいなまれ、心を閉ざしてしまう。そんな母を誤解し、自分は十分に愛されなかったという傷を負う娘。これは結構世の中に起こりうる状況なのではないだろうか。特に幼少時代に誤解をしたまま過ごしてしまうと、溝は大きいはずだ。大人程理解力と見識を持っていないし、見たままをストレートに受け止めるだけだ。心の傷は癒えるのに時間を要し、時として大人になっても愛情飢餓だと感じている人もいると聞く。 やはり人間は人生で何度か、自分の弱さや過ちと向かい合い、認め受け入れなければならないようだ。例え許してもらえなくても。それをしないと先へ進めないのである。そして相手の良いところ悪いところを受け入れ、許すことによって成長するのである。う~ん。やはり人間最後は愛情なのである。どんな人でも、きっと心のどこかに愛を持っているんだと思う。それを恥ずかしがらずに表現する方法を身につけたものだけが、本当の愛情を受け取れるのである。
by kumiserendip
| 2004-10-27 15:14
| 映画狂時代
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