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2004年 12月 07日
この映画はもうすぐ公開されるらしいが、私はベルギーの映画館で観ることができた。しかし、内容はどうしたことか、ひどいできだった。一応映画の勉強として振り返ってみよう。
監督はトニー・スコット。”トップガン”や”スパイゲーム”などヒット作をたくさん出している監督だが、今回の作品はかなり実験的であったと思う。主演はデンゼル・ワシントン。この作品の何が最悪であったかというと、編集だ。ここまでカット割りが多くてカラーバランスをいじった作品は、映画としてはかなり見づらいものとなっていた。これがプロモーションビデオやCMなら良かったろう。しかし、映画でこれをやってしまうと観客の注意が逸れるし気分が悪いし、第一ストーリー上ここまでカメラアングルやカット割り、カラーを変える必然性がどこにも見当たらない。主人公の不安定な心情を表したかったのかもしれないが、こんな演出で感情移入はできない。ただビジュアルを追求したスタイリッシュな映像のつなぎのようなものであった。 映画というものは、文字では伝えられない部分を伝えるべく作られるものなので、映像美を追求するのは映画人として当然だが、音楽のプロモーションビデオやCMと違って映画やTVドラマはストーリーやセリフが重要になってくる。つまりCMなどのように短時間のショッキングなものでインパクトを残すのではなく、ストーリーで観客の心を動かさなければならないのだ。確かに観客は、スタイリッシュなカメラワークや映画のセット、ファッション、俳優の美しさや情景に心を動かされ驚くのだが、観客にカメラワークを意識させてしまうと途端にストーリーへの注意が逸れ、肝心の伝えたいものが薄れてしまうという危険性がある。なので、本当のプロのカメラマンのテクニックは、スタイリッシュでかつ、それを意識させないレベルにまで持っていくことが必要なのだ。あえてカット割りを増やしてカラーバランスを変化させ、不安定さを出したわけだが、これはやはりすべきでなかったと私は思う。 さて、ストーリーの方は実話をもとに作られたと聞いたが、一部を除けばそれなりの作品であった。心に深い傷を持つ男がある家庭の子供のボディガードをすることになり、最初はとても苦しむのだが次第に心を開き、笑顔を見せるまでに仲良くなる。しかし、その子が誘拐事件に巻き込まれ、自分も大きな怪我を負う。その中で何とかその子を助け出そうと立ち上がるとういうわけだ。この映画の良いところは主人公の男と子供のやりとりがかわいらしく、また心を通い合わせ始めるあたりからの2人の会話がとても良かった。そんな子供のために立ち上がる彼の心理も理解できたのだが、途中まで見せていた彼の良い人柄が急変して、子供を救うために手段を選ばない豹変振りに正直驚いた。これはかなり怖かった。そして最後のシーン。実話だからそうなったのだろうが、かなりショックな内容で終わっている。観た後何と言って良いか分からない映画だった。 結局この映画は何を伝えたかったのか良く分からないものだった。思うにこの映画で伝えるべきことは、毎年たくさんの身代金目当ての子供の誘拐が起こり、それをどう解決するかだと思うのだが、そのような意見はこの映画の中で見当たらず、ただ事実をショッキングに見せただけだ。つまり観客にその答えを委ねたわけだが、どこかあいまいな作品だったように思う。どうかね。トニー・スコット、、、。
by kumiserendip
| 2004-12-07 02:33
| 映画狂時代
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